※7巻ネタバレあり。未読の方は注意です。
  ※俺設定入ってます。













































「こんばんわ、臨也さん。波江さん。突然で申し訳ないですが、今晩泊めてください。」



扉をあければ満面の笑みを浮かべて竜ヶ峰帝人が立っていた。














「…とりあえず上がって。あいつなら今お風呂よ。」
「はい。お邪魔します。こんな遅くにすみません。」
お土産です。と言って波江に手渡すのは池袋でも最近人気のケーキ。
「あら、ありがと。お礼にお茶淹れるわね。」
「ありがとうございます。出来れば棚の一番右端にある缶、ダージリンのファーストフラッシュでお願いします。」
「…そんなのがこの家にあるの…」
「僕が持ち込みましたから。」
なるほど。と納得してケトルの火を沸かす。
するとそこに風呂上りの家主が現れた。
「あれ!帝人君いらっしゃい!」
すかさず抱きしめようとしたがべちん、といい音がする。帝人の掌が臨也の額に勢いよくあたる音。
「濡れます。」
「…了解。」
相変わらず見事な手腕だと波江はキッチンで感心する。
この広い地球で臨也と静雄の手綱を握れるのは帝人ただ一人だけだろう。
ソファに座る臨也は帝人を己の膝の上に乗せて後ろからその小さな体を抱きしめる。
「何々〜帝人君なにかあったの?」
「…」
ぶわっとあたりの空気が約3℃ほど下がった気がする。
久々にマジギレモードの帝人に臨也も正直逃げ出したくなった。
「……」
「…」
辺りを静寂が包む。誰も言葉を発せぬままの空気を打破したのは携帯のバイブの音だった。
「……いいの?帝人君、出なくて。」
意を決して臨也が尋ねるが帝人は携帯を一瞥する。
「わかってますから。別にいいです。」
「そ、そう…」
「あ、私悪いけど先に失礼するわ。じゃあね。」
ただならぬ雰囲気を察した波江はこれ幸いと手早く荷物を纏め、部屋を後にした。
逃げた!と臨也は叫びたくなったがぐ、とこらえる。
「…本当にさ、どうしたの?帝人君。」
宥めるようにぎゅ、と抱く腕に力を込める。
「………この前助けたヴァローナ、いましたよね。」
「あぁ、結構楽しませてくれそうだから生かすことにしたロシア美人でしょ。その娘がどうかしたの?」
「さっきトムさんが言ってたんです。」


『あ〜、何か今日ヴァローナと茜ちゃんがさ、静雄は自分のものだって言い争いをしてて。静雄にもモテ期がきたっていうのか、まあアイツも隅に置けないよな〜』
『えぇ、そうですね。』


(あぁ、シズちゃんもバカだねぇ…)

先ほどの電話も静雄だろう。本人の与り知らぬところで怒らせて電話にも出てもらえないなんてなんと可哀想なことだろうか。
「ヤキモチ妬いちゃったんだ?」
「…って言うか自分のモノを他人に取られるのは我慢できないだけです。」
可愛らしい独占欲。思わず臨也は帝人の首筋に顔を埋める。
「くすぐったいです、臨也さん。」
「ん〜…大好きだよ、帝人君。大好き。ねえ、俺には嫉妬してくれないの?」
「臨也さんに?」
「そう、俺に。」
「…しないですね。臨也さんはちゃんと僕のモノって自覚があるじゃないですか。」

どんなに女の子をはべらせてようが何をしてようがちゃんと僕の元に戻ってきてくれるんでしょう?

にっこりと帝人が微笑めば降参とばかりに臨也が両手をあげる。
「もちろんじゃないか。」
ちゅ、と触れるだけの口付け。次第に深く、舌と舌を絡め合わせてまるで獣のように貪りあう。
すると再び帝人の携帯が鳴った。
「…ふ、は、ぁ…待って、臨也さん。」
片手を上げて続けようとする臨也を制し、携帯の通話ボタンを押す。

「今、いいところなんでまた今度ゆっくりお話しましょうね、平和島さん。」

言いたいことだけ言ってピッと通話を終了させる。
ちなみにいつもは名前で呼んでくれる帝人が苗字で呼ぶのは本気で怒ってる証拠。
「いいの?」
「少し頭を冷やしていただかないと困るのでいいんです。」
と、中断されていた口付けを再会する。
「どうする?」
「ん…声、ガマンします。」
「え〜、つまんないから俺の部屋行こっか。防音処理してあるし。」
「毎回思うんですけどどうして防音?」
「情報屋は盗聴とか天敵だから。」
ふわりと体が宙に浮く感覚がしてそのまま抱きかかえられる。
「今日はうんと甘やかしてくださいね。」
「了解。」






ご愁傷様です






(あ〜、とりあえず後でシズちゃんにフォローいれとくか。)


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