※静雄が帝人のSS(仮)
※帝人は陰陽師を生業とする竜ヶ峰の時期頭首筆頭。一族の中で始祖の血を色濃く受け継ぐ
※静雄は鬼の生まれ変わり


以上が許せる方はレッツスクロール!





















「貴方だって結局同じなくせに……!」


近付いて来る人間は全部『竜ヶ峰』の名前が目当て。
人ならざる強い力が目的。
僕にあるものは何もない。ただ始祖の血を色濃く継いでいるというだけのただの竜ヶ峰の人形。
本家を出れば何かが見つかると思ってたんだ。
竜ヶ峰が与えるものじゃなくて僕だけのものが欲しかった。
だけれども結局同じ。
皆みんな同じ。

「いらない、いらないんです…!貴方も竜ヶ峰の誰かにつけばいいでしょう!僕だけのものじゃないのならSSなんていらないんです…!」

まるで子供のような癇癪で酷いことを言っているという自覚はある。
元々始祖の式神だった記憶を持つこの人が僕の中に始祖を見てしまうのは仕方のないこと。
幻滅してくれればいい。
そうして僕から離れていってしまえばいい。
信じた人に裏切られるのはもうたくさんだった。

「帝人様。」

いつもと同じ様に優しい声で呼ばれたと思うと不意に暖かなものに包まれる。
少しして、静雄さんに抱きしめられているのだと知った。

「俺は貴方の中に始祖の影なんて見ていない。正直そんなものどうでもいい。俺は竜ヶ峰なんかじゃない、ただの帝人しかいらない。貴方が欲しいなら俺の魂ごとくれてやる。だから泣くな。泣かないでくれ。」

ぎゅう、と抱く腕に力がこめられる。
痛いとも気持ち悪いとも思わなかった。
ただただ静雄さんがくれた言葉が心に染み入っていた。

「本当…?本当に僕だけのものになってくれる…?」
「あぁ。」
「竜ヶ峰帝人じゃなくても?」
「ただの帝人がいい。」
「裏切らない…?独りにしない…?」
「俺の真名に誓って。」

夢ではないだろうか。
自分に都合のいい夢を見ているだけ。だが、こめられる力が夢ではないと告げている。

「こんな僕でよければ正式にSSになってくれますか…?」

くぐもった声でそう告げるとようやく体を離され、柔らかく微笑む静雄さんに出会う。
そうして恭しくひざまづく。

「俺の魂は永劫貴方だけのものだ。一生、貴方の元を離れないと真名にかけて誓おう。…俺だけの主。」

大きな手が僕の手を掴み、静雄さんの唇が僕の掌に押し付けられた。



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